「気づき」を大切に 1199


霊雲(れいうん)禅師(唐代の人)は、30年もの長い間、悟りを求めて、座禅をくんで修行をした。
しかし、何ら得られたものがなかった。

彼は、新しい師を求めて、旅に出た。
いくら修行しても、師が何も教えてくれない。
それが不満だった。
もっとよく教えてくれる師が、欲しかった。

彼は、ある山のふもとへ来た。
少し小高い丘から、人里の景色を眺めた。
時は春であった。
一面に咲く桃の花を見つめていた。

「ああ、美しい桃の花だ」
彼は、かつて、こんなにしみじみと、桃の花を見つめたことはなかった。

「ああ、なんと美しい」
と、ふと声に出したとたん、ハッと気がついた。

どうしていままで、花が美しく見えることの素晴らしさに、気づかなかったのであろう。
尊いものは、人からもらうものではない。
人から教わるものではない。

自分にある尊さを、自分で発見することだった。
自分の「気づき」を、大切にすることだった。

もっと自分の「気づき」を信じましょう。
尊い気づきを、たくさん発見できることでしょう。

2025年06月21日