人の過失を笑って許そう 1070


人の過失を、いつまでも許すことが、できない人がいます。
この場合は、過失をした人、許すことができない人、2人とも不幸が続きます。

反対に、人の過失を、気軽に許すことが、できる人がいます。
この場合は、過失をした人、許すことができる人、2人とも幸せが続きます。

かっての会津(あいづ)の殿様、加藤嘉明(よしあきら)のエピソードです。

若き日の嘉明公は、「手塩皿(てしおざら)」という、10枚1組のお皿を家宝にし、大切な客をもてなす時に使うなど、それはそれは、大切にしていました。
ところがある日。
このお皿のうちの1枚を、側近の若者が、不注意から割ってしまったのです。

こういうものは、全部そろっていてこそ、価値があるもの。
この家臣は、「これは打ち首に、なってもおかしくない」と、覚悟を決めます。
10枚1組のお皿のうち、1枚を家臣が、割ってしまったと知った嘉明公は、意外な行動に出たのです。
あなたには、嘉明公が、何をしたかわかりますか?

なんと、嘉明公。
残った9枚の皿も、その家臣の目の前で、全部割ってしまったのです。

別に、ヤケを起こしたわけでも、気がフレたわけでもありません。
残りのお皿まで割った理由は、次のようなものでした。

「残りの皿を、そのままにしていたら、この皿が使われるたびに、おまえはその内の1枚を自分が、割ってしまった事を思い出すし、周りもおまえを白い目で、見てしまうだろう。ならば、いっそ、すべて無くしておいた方が良い」

そう言って、笑って許した、というのです。

名君ですね。
人の上に立つ人は、これくらいの器の大きさが、あって欲しいものです。

自分より弱い立場の人間の過失を、笑って許せる、度量があるのです。
自分にとって、本当に大切なモノは、「家宝」ではないと、心得ているのです。
こんな殿様のためなら、家臣は喜んで、命だって差し出します。

どんなに注意をしていても、過失が起こってしまいます。
そんな時は、笑って、許すようにしましょう。

許すことは、お互い幸せになることでも、あるのです。

2022年12月14日